「親が多額の借金を残して亡くなったが、相続しないようにしたい・・・」
「疎遠だった親族が亡くなり、自分が相続人になったと連絡がきたが、あまり関与したくない・・・」
このような場合に検討できる一つの方法として、「相続放棄」の制度があります。
相続放棄は、亡くなった方の残した遺産の一切を相続しないことを申述する手続きで、家庭裁判所に書類を提出することにより行います。
この記事では、相続放棄のメリットや具体的な手続きについて解説しています。
相続放棄の理由とメリット
親族が亡くなり、残した財産の相続人となった方が相続放棄を検討する理由については、おもに次のケースがあります。
借金があるとき
相続放棄によって、亡くなった方が残していった債務を引き継がない選択をすることができます。亡くなった方の遺産のうち借金の金額が多いことがわかった場合は、相続放棄を検討しましょう。
亡くなった方が生前に保証人としての契約をしたことで生じた債務についても、同様に引き継がないようにすることができます。
亡くなった方が生前に保証人としての契約をしたことで生じた債務についても、同様に引き継がないようにすることができます。
遺産をめぐる紛争に関与したくない場合
遺産相続の対象となる財産の分け方に複数の相続人間で争いが生じている場合や、残された遺産の適切な管理処分を続けていくことが心配になるケースがあります。
その場合は、相続放棄によって相続財産への関与から生じる負担を免れる選択をすることができます。
その場合は、相続放棄によって相続財産への関与から生じる負担を免れる選択をすることができます。
事業承継をスムーズに行いたい場合
亡くなった方が事業を営んでいた場合、複数の相続人間で遺産を分けた結果として事業用の財産が散逸してしまうと、スムーズな事業継続が不可能になります。
事業を引き継ぐ予定である特定の相続人を除いた他の相続人が相続放棄を検討することにより、事業用財産を今後事業を続ける特定の相続人に集中させることが可能となります。
事業を引き継ぐ予定である特定の相続人を除いた他の相続人が相続放棄を検討することにより、事業用財産を今後事業を続ける特定の相続人に集中させることが可能となります。
相続放棄の手続き
相続放棄を行うための家庭裁判所での具体的な手続きについて説明します。
手続きの完了までは、概ね1~2か月程度の所要時間であることが一般的です。
手続きの完了までは、概ね1~2か月程度の所要時間であることが一般的です。
相続放棄のための書類を集める
相続放棄申述書、亡くなった方が記載された戸籍謄本および住民票(除票)のほか、申立てをする相続人の戸籍謄本が必要です。相続放棄申述書の様式、記載例は家庭裁判所のホームページからダウンロードすることができます。
相続放棄のための費用を準備する
相続放棄の申述(書類提出の手続き)には、収入印紙代の800円と、裁判所が書類を送付する際に使用する切手代が必要です。切手代は管轄の家庭裁判所によって異なりますので、提出先となる家庭裁判所に問い合わせて事前に確認してください。
家庭裁判所に申述をする:
必要書類と収入印紙が揃ったら、家庭裁判所へ相続放棄の申述を行います。提出用の書類は、提出先の家庭裁判所へ郵送することも可能です。
送られてきた照会書に回答する
おおむね1~2週間で提出した書類の審査が終わり、家庭裁判所から住所地あてに相続放棄に関する照会書が送られてきます。照会書は、本人が真意に基づいて相続放棄をしているかを確認するものです。期限が定められている場合が多いので速やかに返送しましょう。
「相続放棄申述受理通知書」が届く
家庭裁判所は返送されてきた照会書を確認したあと、申し立てた方に「相続放棄申述受理通知書」を送付します。相続放棄が正式に受理されて手続きの完了したことが確認できる書類であり、金融機関や法務局に対して相続放棄を証明することができるものです。なお、この受理通知書を紛失した場合など、改めて交付を受けたいときは家庭裁判所で「相続放棄受理証明書」を発行してもらうことができます。
相続放棄のリスクと注意点
相続放棄をする際に注意すべきポイントについて解説します。
3か月間の期限がある
相続放棄には「相続があったことを知ってから」、「3か月以内」に申述をしなければならないという期限があります。
相続手続きは法令によって期限が設定されていることが多いものですが、相続税の申告期限(10か月)と比べても短い期間となっています。
この期限を経過した場合にも延長が認められる場合がありますが、亡くなった方とほとんど連絡を取っていなかった場合のほか、財産らしきものが見当たらず把握が難しかった場合など、やむを得ない事情を家庭裁判所に説明できなければ認められません。
したがって、相続放棄を検討する場合は期限を意識し、お早めに手続きをすることが必要です。
相続手続きは法令によって期限が設定されていることが多いものですが、相続税の申告期限(10か月)と比べても短い期間となっています。
この期限を経過した場合にも延長が認められる場合がありますが、亡くなった方とほとんど連絡を取っていなかった場合のほか、財産らしきものが見当たらず把握が難しかった場合など、やむを得ない事情を家庭裁判所に説明できなければ認められません。
したがって、相続放棄を検討する場合は期限を意識し、お早めに手続きをすることが必要です。
プラスの財産も放棄される
相続放棄が受理された場合、手続きをされた方は相続人でないものとみなされることとなります。
借金だけでなく預貯金や不動産があるなど、プラスの財産もそのすべてを相続できなくります。事情が変わったりしたときも、あとから撤回を認めてもらうことは困難である点に注意してください。
借金だけでなく預貯金や不動産があるなど、プラスの財産もそのすべてを相続できなくります。事情が変わったりしたときも、あとから撤回を認めてもらうことは困難である点に注意してください。
財産を処分したあとは相続放棄が認められない
相続放棄をするまでに相続財産を処分をしてしまった場合は、「相続の単純承認をした」と扱われ、その場合は相続放棄が認められなくなります。
具体的には、相続財産である金銭を私的に消費した場合のほか、預貯金の解約や不動産の売却をした場合がこれにあたります。
なお、亡くなった方の葬儀代金の支払いや、自己が受取人となっている生命保険金を受け取ることは単純承認にあたらないとされています。
具体的には、相続財産である金銭を私的に消費した場合のほか、預貯金の解約や不動産の売却をした場合がこれにあたります。
なお、亡くなった方の葬儀代金の支払いや、自己が受取人となっている生命保険金を受け取ることは単純承認にあたらないとされています。
まとめ
以上、相続放棄をする場合の手続きや、注意点について解説を記載しました。
相続手続きは、正確な知識をもって適切な時期に行うことが重要です。
遺産の相続にあたり相続放棄を検討すべきなのかどうか、また自分で全ての手続きをすることが不安な方は、相続の専門家による援助を受けることをお勧めします。
当社では、司法書士、弁護士、税理士などが連携する専門家グループとして相続手続きによって生じるお悩みに積極的にサポートさせて頂いております。どうぞお気軽にご相談ください。
相続手続きは、正確な知識をもって適切な時期に行うことが重要です。
遺産の相続にあたり相続放棄を検討すべきなのかどうか、また自分で全ての手続きをすることが不安な方は、相続の専門家による援助を受けることをお勧めします。
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