CONTENTS コンテンツ

相続のあれこれ「遺言書」

遺言書の作り方・使い方を知りましょう

 サスペンスドラマやNetflixの韓国ドラマじゃないけど「相続」発生後に親族たちで「遺産争い」になることが実際にあります。争いが発生しやすい相続の財産価格は5000万円以下が多いです。金額が少ないが揉めるということは遺産分割したい財産が自宅と現金みたいな現金化してしまう以外に選択肢が無いケースだと思います。例えば父が他界し自宅では、次女が母の面倒見ながら生活していました。母の年金は少なく生計は次女が補うときもありました。長男・長女は結婚して別居しています。母が亡くなり、次女は当然ように自宅は次女が相続すると思っていましたが、長男・長女は全てを3分の1づつだと主張してきます。母はそんなことを見越し遺言書を残してくれていましたが、封書された手紙のためその取り扱いが分かりません。そんなことにならないように遺言書の作り方と使い方について触れてみたいと思います。

1.遺言書効力

 被相続人の死亡によって、相続手続きが発生した際に「遺言書(いごんしょ、ゆいごんしょ」が存在すると、基本的にその内容で遺産整理が実行されます。原則的に相続人全員の合意で実行内容を安易に変更することはできません。有効な遺言書は、生前に遺言者に認められた相続財産の処分・分配方法の指定や法定事項の指示になりますので、相続人全員の合意より遺言者の生前の意思を優先させます。ただし、遺贈する人と物を特定した遺贈(例えば、自宅はAに遺贈する)は、相続人全員の合意で変更することはできます。
 また、遺言書に記載があるがすでに売却済の不動産とか解約済の預貯金等にはその効果は及びません。遺言者より先に亡くなった方への相続・遺贈もできません。そのような時に備えて「Aが死亡している場合はその子Bに遺贈または相続する」みたいな予備的な遺言を続けておくことは有効です。

2.遺言書の種類

 遺言書には遺言者が平常時に作成する「普通方式遺言」と危急時(遭難や震災時等)に作成する「特別方式遺言」があります。「特別方式遺言」は緊急事態で今にも亡くなりそうな状況で作成されるので、医師や船長とか特別な「人」が関与します。「普通方式遺言」には3種類の形式があります。
①自筆証書遺言
 全文を自署し、日付、氏名、押印が漏れていると「無効」となります。使用するためには、家庭裁判所の「検認」が必要となりますが、「検認」自体は遺言書の内容を保証するものではなく、その存在を認めるものになります。法改正により、財産目録をパソコンで作成し印刷したものを合綴して押印することができます。法務局に預けることもできるようになり、その場合は「検認」不要です。
②公正証書遺言
 公証役場で公証人(裁判官や検察官等法律職の専門家が就任します)が作成する遺言書です。費用はかかりますが、内容については本人の遺漏等がなければ不備はなく、保管もされ正本を紛失しても謄本は請求権者(本人、死亡後の相続人等)であれば取得できます。
 自筆証書遺言のように「検認」は不要です。
③秘密証書遺言
 内容はパソコン等で作成してもよく、自署で署名押印だけすれば有効です。その存在を公証役場で認証してもらえますが実用的ではなくあまり選択されていません。

3.遺言書が無効になる場合

遺言書が無効になると、法定相続人による遺産分割協議になり遺言者の意志は反映されない相続になります。不備がある遺言等は再作成等しないといけません。
①方式に不備(自筆証書遺言の要件不備等)
②内容が不明確(だれに?何を?遺贈?どこの?等対象が不明確)
③内容が公序良俗違反(生前の不倫関係を継続するための遺言等)
④遺言能力がない(遺言書作成時の医師の診断書で遺言能力が否定される等)
⑤偽造(遺言書を偽造した相続人は相続人になれません)
⑥錯誤、詐欺、脅迫(遺言者死亡後の立証は難しい)

①②は明らかな無効が多いです。それ以外は訴訟・調停によって無効を争う事になりますが、その前に相続人全員で遺産分割協議をして解決することもできます。ちなみに遺言無効確認の調停申立や訴訟提起には、特に時効はありません。

4.遺言書で相続手続きをする

遺言書がない遺産整理手続きは、法定相続人全員を証明する戸籍謄本等一式や遺産分割協議書または遺産整理の委任状を実印で押印し印鑑証明書を添えて開始します。その人数によっては手続き開始までにとても時間がかかることがあります。遺言書がある遺産整理手続きは、遺言者の死亡を証する戸籍と遺産をもらう人の生存を戸籍を添える程度が多いです。遺産整理開始のスタートラインはとても早いです。遺言書に遺産の分配等を取り仕切る遺言執行者が選任されていれば、遺産をもらう人は通常の相続手続きより簡便に完了させることができます。

5.まとめ

 遺言書は財産の多少に関わらず作成した方が良い場合がありますので、ウィズグローバルに相談にきてください。作成と証人の立会には費用がかかりますが作成する遺言は「公正証書遺言」をおすすめしてます。公証人が関与して内容の真性は担保されますし、関与者が多いので遺言書の存在が周知されやすく「検認」もいらないので執行までの時間がとても早いです。個人の方が公正証書遺言を単独で作成する場合、何度が公証役場に足を運ばないといけないのですが、司法書士等が下書きの段階から関与することにより公証役場に行くのは本番の署名押印の時だけになります。下書きの打ち合わせはご自宅まで伺います。最終の署名押印には公証人が本人の居住する施設等まで出張も可能です。まずは気軽にご相談を!