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相続登記は必要なの?

相続登記が義務化されます

 最近、「令和6年4月1日から相続登記が義務化されます」というニュースや新聞記事等を見聞きすることが多いとおもいませんか?「相続」すら発生してないのに「相続登記」なんてなんの事を言っているのか全くもって無関係、無関心という方も多いと思います。しかし、そう思われている方にも知らないところで「相続人」になっていて、突然当事者になってしまうことがあります。「相続」とは、人の死亡等によって亡くなった方の財産や債務がその法定相続人に権利承継される制度です。近年の身近な親や兄弟姉妹の相続の手続きであれば、ほとんどの内容については完了していることだと思いますが、不動産は法務局へ相続登記申請しないと相続人に名義変更されませんので、申請を放置していたり不動産の存在を知らなかったりして「相続登記」してないことがあります。「不動産登記」とは、不動産の物理的現況と権利関係を登録できる制度です。誰でも不動産登記事項証明書を取得してその内容を閲覧できることにより、権利(所有権や抵当権)の対抗要件の具備を確認することができます。そこで、相続登記が未了であると「死者名義」のまま不動作登記事項証明書の記載は放置されます。そうすると誰でも閲覧できる不動産登記事項証明書で国土利用と国民の権利を擁護すべき不動産の登記制度が機能せず、いわゆる「所有者不明土地」が発生します。
 そこで今回は、相続登記の必要性から相続登記の義務化の内容についてお話しさせていただきます。

1.相続登記義務化の経緯

 国土交通省の平成28年度地籍調査における土地所有者等に関する調査によれば調査対象約62万件に対してその20%が不動産登記未了(相続登記、住所変更登記)により調査通知が到達してませんでした。そのうち約80%が相続登記の未了が原因でした。最終の登記年月日が古いほど最終的な「所有者不明土地」は多くなります。売却して金銭に換価しやすい宅地や商業地は確実に相続登記はされていると思います。「所有者不明土地」で多いのは、過疎地域の宅地や山林・原野とか農地になります。中には、原野商法で詐欺にあった土地もあるかもしれません。価値が無い、低廉な不動産を相続すると負担でしかないと思って放置したり、固定資産税の納税通知すら来ないので存在を知らなかったという不動産もあります。
 そんな「所有者不明土地」をなくして有効な国土利用を図るために相続登記は「令和6年4月1日より」義務化に至りました。

2.相続登記義務化の内容

 相続登記は義務化されたことによって次のことが定められました。
①相続人は不動産(土地・建物)を相続したことを知ったときから3年以内に、相続登記を申請することが義務化されました。相続をしたことを知ったときからとは、遺産分割協議(相続人間全員の合意)であればその合意成立から、遺言書でであればその内容をしったときから経過します。
令和6年4月1日以前の相続登記は令和9年3月31日までに完了させなくてはなりません。
②次のような正当な理由なく相続登記しない場合、10万円以下の過料(行政罰で刑罰ではない)に処せられることがあります。
・相続人の数が多数で必要書類の収集にかなりの時間がかかる
・遺産の範囲、遺言の真否、紛争が発生している等で相続する人が確定していない
・相続人が重病等の事情がある
・相続人が配偶者からのDV等で避難している
・相続人が経済的困窮のため登記できない
③登記申請ができない場合、不動産の管轄法務局に「相続が発生したこと」と「自分は相続人です」ということを報国すると相続登記義務を履行したことになります。この制度を「相続人申告登記の申出」いいますが、相続登記が完了するわけではないので登記事項証明書には相続人は記載されません。

3.相続登記しないとできないこと

 不動産登記事項証明書の記載事項に「相続」を原因する名義変更がされていないと次のような差し支えが出ます。
①相続登記を完了していないと不動産の売買契約を締結することができないです。
相続登記をしないと「死者名義」のままです。契約主体となるものは、自然人(生きている人)でないと慣れませんので、死者名義を相続人名義に変更する必要があります。また、買主や不動産仲介は相続登記が完了してるのを確認して相続手続きが解決(揉めていたかもしれないので)しているのを確認します。揉めている場合は、相続人全員が名義人になって売却することもあります。
②相続登記が完了してないと住宅ローンの担保設定や事業資金の担保設定ができないです。
上記と同じように「死者」は契約の主体になれないので名義変更が必要なのと、「債務(借金」がある場合誰が引き継ぐのか登記申請します。
③放置していると他の相続人の死亡によって相続手続きに参加する人数が増えて複雑化します。
相続発生後に遺産分割協議未了の間に相続人が死亡すると、「相続人の相続人」に「相続人」が権利として持っていた「相続人として遺産分割協議をして遺産承継する権利」が「相続人の相続人」に相続されます。書いていても何のこっちゃ?となりますが、それが手続きとして複雑化させていきます。
④公共機関が勝手に登記して「登記識別情報通知(権利証)」が発行されない。
不動産由来の税金の滞納等があると国税局等は対象不動産に「差押」の登記を嘱託登記で申請します。嘱託登記は公共機関が債権等をもっていてその正当性を公示するために公共機関の権限で登記する制度ですが、相続登記が未了の不動産には職権で調査され相続登記されてしまいます。「登記識別情報通知(権利証)」は所有権の登記申請名義人じゃないないと発行されません。このときの登記申請人は公共機関で相続人ではありませんので、「登記識別情報通知(権利証)」は相続人に発行されず、後日不動産を売却するときに提出することができないために特別の手続きと費用負担があります。

4.相続登記の必要書類

 相続登記に必要な書類は次のようになります。
①亡くなった方(被相続人)の戸籍謄本等
被相続人の相続人は法定されています。戸籍謄本等に出てくる人しか相続人になることはできませんので、被相続人の死亡日以後から出生日以前に編成された戸籍・改正原・除籍謄本を収集してその原本を提出します。
②相続人の戸籍の全部事項証明書(一部事項証明書)
相続人は被相続人の相続発生後の生存者でないと相続人になれませんので、その生存と相続関係を証明するために提出します。相続登記未了の間に相続人が死亡した場合は、死者名義の相続登記ができます。
③相続関係説明図(今回の家系図)
相続人の系譜を記した説明図です。戸籍謄本等を全て確認してから作成しますので、正しい相続関係説明図を法務局に提出すると戸籍謄本等の原本を還付してくれたり、申請によって法定相続証明情報(相続の系譜は本書をもって間違いないことを法務局が証明)として発行してくれます。
④住民票、住民票の除票等
不動産登記事項証明書の所有者の住所は、住民票上の住所と連動しません。戸籍謄本等の本籍地は住所ではないので登記上の不一致があった場合に、書面審査の法務局には本人の同一性を確認する手段がありませんので、被相続人の最後の住所地がわかるものと登記名義人になる相続人の住所が分かるものが必要になります。住所を証明するものとして、住見票(住民票の除票)と戸籍の付票(除付票)があります。
⑤遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議をした場合はその内容を証明するために相続人全員が署名(記名)+押印(実印)した遺産分割協議書に相続人の印鑑証明書を添付して提出します。
⑥遺言書
被相続人は生前にその意思を相続人残すべく遺言書を作成することができます。遺言書がある場合はその原本を提出します。自筆証書遺言には裁判所の検認が必要です。
⑦調停調書の正本、判決書
「争続」なった場合にその確定内容を証するために、裁判所で取得した調停調書の正本等を提出します。
⑧固定資産税の納税通知
相続登記には不動産の登録免許税が課税されます。固定資産税評価格の0.4%を納税しますので、その価格を証明する固定資産税評価証明書等を提出します。
⑨委任状
司法書士に依頼する場合は委任状が必要になります。

5.まとめ

 不要な「所有者不明土地」を減らして、有効な国土利用をしていくために「相続登記の義務化」がスタートしていきますが、その情報だけで「罰金あるからどうしましょう?」なんて相談受けることもあります。実際は刑罰としての罰金ではなく「過料」として行政罰ですが、なんだか不安になってしまうものですよね。法律が施工されてみないとどれくらいの改善効果があるのか分かりませんが、心配な方はまずは相談してみてはいかがでしょうか?ウィズグローバルでは司法書士が直接相談になりますのでお気軽にもうしつけください。