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不動産にかかる税金について

「無駄な税金は払いたくない!」って考える方がいますが、大半の方が税金の納付書が送り付けられてからそう思うのではないかと感じてます。税金の納付時に税理士さんに相談しても、決まった基準で計算されたものに税金対策は通用しません。税金は値引きしてくれるものでもなく、支払いを待ってくれるものでもないので容赦なく取立られます。不動産は大きな金額の取引ですので、知っておかないと資金がショートしてしまうこともあります。そこで今回は不動産にかかる税金についてお話しさせていただきます。

不動産の税金について

 「税金って何?」について大きく言えば、日本の社会全体を維持整備するために徴収される会費のような「国民の義務」です。「生活の維持」「国土の維持」「経済の維持」「国防の維持」「人命の維持」「社会保障の維持」・・・いろいろありますので、課税の対象も課税のされ方も多数にわたります。
 また、国に収める税金を「国税」、地方自治体に収める税金を「地方税」として分けられ、それぞれ用途も違います。
 不動産についても、課税される科目がたくさんありますので主なものを簡単に説明していきます。

1.不動産取得税

 不動産を取得すると地方税(県税事務所)として課税されます。「取得」とは不動産の所有権を取得することいいます。売買だけでなく贈与(遺贈)、交換等も対象となりますが相続は除きます。土地の価値(固定資産税評価)に対して税率をかけて計算します。住宅(土地・建物)については、税率3%が基本となりますが宅地の売買の税率は1.5%になります。ある一定の住宅地の要件を満たすと軽減措置があり非課税になります。
 土地 固定資産税評価額 × 3% (売買を原因とする宅地等は1.5%になります)
 建物 固定資産税評価額 × 4% (事務所、店舗以外は3%になります)

 住宅用地の軽減措置のイメージですが、家屋の倍面積(200㎡まで)の土地については軽減されて0円になることがあります。豪邸ではない限り、自己居住の新築住宅や中古建物の取得が負担にならないようになってます。また、更地を取得して3年以内に住宅を建設する場合、住宅があるのと同様に土地の不動産取得税が0円になったり、一旦納税したお金が還付されたりします。
 
 

2.固定資産税・都市計画税

 1月1日現在に不動産を所有する方に課税される地方税です。不動産の所在地の市町村に納税します。固定資産税は使用用途が定められていない普通税であり、徴収した市町村により、道路や公園の整備、公共の福祉のために使用されます。固定資産税の評価は評価時の適正な時価をもとに、総務大臣が定めた基準に基づいて、3年に一度評価がされます。固定資産税は課税標準額(負担の調整措置)に税率を乗じて算出します。住宅用地の課税標準の特例としては、200㎡以下の住宅地は課税標準の1/6(200㎡を超える部分は1/3)になります。土地は空家でも建物が現存すれば前述のようになりますので、年末に建物を解体する計画がある場合翌年の固定資産税額には注意が必要です。新築建物にも要件適用によって、固定資産税評価の1/2になる期間があります。
 固定資産税の課税標準額 × 1.4% で算出します

都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業を行う市町村が、都市計画区域内にある土地家屋に対してその事業に必要となる費用に充てるために支払う税金です。
 固定資産税の課税標準額 × 0.3% で算出します

3.登録免許税

 不動産を取得すると名義書き換えや担保取得者の明示のため、法務局に不動産登記を申請します。その申請時に法務局に納税します。住宅を取得したときに登記する権利として、「所有権」「地上権」「賃借権」「地役権」「(根)抵当権」等があります。固定資産税額に税率をかけて算出するものと、不動産1個を「筆」という単位で表すことがありますがその「筆」の数一個に対して決められた金額をかけるものがあります。また、一定の要件のもと「居住用」の不動産の場合、税率が軽減されることがあります。
 所有権の移転 (土地の売買) 固定資産税額 × 3%(特例1.5%)
        (建物の売買) 固定資産税額 × 2%(居住用住宅の特例0.3%)
        (新築建物)  法務局の建築基準単価 × 4%(居住用住宅の特例0.1・0.15%)
 抵当権の設定         借入金額 × 0.4%(居住用住宅の特例0.1%)
土地の固定資産税額によりますが、登記申請してもらう司法書士の報酬(15から25万円)も入りますので予算として認識していないといけません。  

4.譲渡所得税

 不動産を売買等(離婚による財産分与でもかかることあります)したときに、買った時の価格(取得価格)から売買した金額が高い場合、その差額が所得(儲け分)として課税されます。これを譲渡所得税といいます。譲渡所得税は不動産を取得してから保有した期間によって、短期と長期に区分されその税率が異なります。
  収入金額-取得費(買った時の値段)+譲渡費用(仲介手数料や修繕、測量費等)-特別控除
  =課税譲渡所得金額
  ※特別控除には居住用財産の3000万円や収用等による5000万円などがあります

    長期譲渡所得  所得税率15%  住民税率5%
    マイホーム特例 6000万円まで 所得税率10% 住民税率4%
            6000万円以上 所得税率15% 住民税率5%
    短期譲渡所得  所得税率30%  住民税率9%

 買った時の取得価格の証明は、売買契約書が必要になります。紛失していると売却価格の5%となり多額の譲渡所得税を払うこともあるので注意が必要です。ただ、贈与や相続の場合は最初の取得者の取得価格になるので昭和の前半時代に取得した不動産はほとんど所得が発生することになります。
 

5.贈与税・相続税

 生前の手続きが「贈与税」、所有者が死亡した後に手続きするのが「相続税」というようなイメージです。所有物を無償で承継させる場合に発生する税金です。それぞれには非課税の枠がありますが、贈与税は年間110万円までになります。相続税は基礎控除として3000万円+600万円×相続人の人数が相続財産の価格を超えない限り納税は不要となります。ただ、相続財産の価格算定は税理士さんの複雑な計算もとに算出しないとわからないものもあります。土地は路線価という基準で算出したり、農地であっても固定資産税の評価に決められた倍率を乗じて算出する場所もあります。株価の算出や自宅や事業用地の算出方法と現金だけじゃないとなかなか計算することはできません。
 不動産で贈与というと、住宅取得資金を親御さんが提供する場面がありますが、要件に当てはまれば非課税になる制度もあります。相続税についても生前贈与について前借みたいな制度もあります。不動産等の資産を複数持っている方は生前に相続税対策をおこなわないと多額の相続を支払うことになり、所有不動産を処分して納税する方もいますので注意が必要です。

6.まとめ

 不動産から考えておかないといけない税金は多数あります。それぞれ課税の目的が違うので考え方が変わります。事前の対策が取れそうなもの、予算に計上しておかないと住宅取得計画が組めないもの、毎年課税されるもの様々です。相続や離婚のときは特に知らないで税金を多く払ってしまうケースが多々あります。ウィズグローバルの司法書士は豊富な経験から手続きだけでなくお客様の大切な資産をまもる相談にも対応させていただきます。ぜひご来店ください。お待ちしております。