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離婚における手続きについて

「離婚」するのは、精神的にも体力的にも経済的にも大変ですし、離婚後の生活での負担等もたくさんあるかと思います。一概に「不幸な離婚」ではなく、互いのリスタートに踏み切るための「再幸を考えた離婚」もあると思います。とはいえ、離婚には財産分与や養育費、年金の分割等いろいろな手続きがありますので、今回は離婚に伴う手続きについてお話しさせていただきます。

離婚届の提出

1.離婚の方法

 離婚に至る方法としては、双方の合意と離婚届で提出による「協議離婚」と調停、判決、審判の確定によって効力が発生する「裁判離婚」があります。裁判離婚は調停・和解成立、審判・判決、請求の認諾の日から10日以内に申立人または原告が届出をします。提出先は本籍地または夫、妻の所在地(一時滞在地を含む)の市役所に届出をします。
 

2.離婚届出の必要書類

①協議離婚
・証人2名(成年)署名入りの離婚届  1通
・戸籍謄本(市内に本籍地がない場合) 1通
・本人確認資料
②裁判離婚
・調停、和解、認諾調書の謄本もしくは審判、判決書の謄本と確定証明書
・戸籍謄本(市内に本籍地がない場合) 1通
・本人確認資料
③戸籍法77条の2の届出
 離婚により配偶者の氏に変えた人は、離婚によって婚姻する前の氏に戻ります。離婚後も婚姻中の氏を継続して名乗りたい場合は、離婚届のほかに、この届書の提出が必要です。

3.関連するの手続き

・離婚によって住所変更する場合は、住所変更の手続きが必要です。
・住所や氏が変更する方は、マイナンバーカードの書き換えが必要です。
・国民健康保険の加入者で世帯主に変更がある場合は、差し替えが必要です。
・子の氏を変更する場合は、家庭裁判所の許可が必要です。
・離婚届には親権者を記載します。

親権について

1.親権とは

 親権は、子供が成年年齢(18才)になるまで、監護養育し財産管理を行い、子供の法定代理人になる権利です。婚姻期間中は、両親二人で行使する「共同親権」となりますので他方の同意だけで契約行為等は成立しません。しかし、離婚するとどちらかの親が「単独親権」となるため、離婚の際には子供の親権を決める必要があります。親権を喪失しても相続での親子関係がなくなるということはありません。

2.親権の種類

①財産管理権
 子供の財産(現金、不動産)を管理し、その財産に関わる法律行為を代理する権利です。
一例として、預金通帳の管理、不動産の賃貸借契約、相続登記手続き等です。
②身上監護権
 子供の心身の成長を図るために、子供の身の回りの世話や教育をする権利です。
・居住権 子供の居所(生活拠点)を定める
・懲戒権 子供のしつけをする
・職業許可権 子供が仕事をすることを許可する
・身分行為の代理権 婚姻、養子縁組等の身分行為を代理する

経済的事情等配慮すべき事項がある場合、財産管理権と身上監護権を分離してそれぞれを持つことあります。

3.親権の決定方法

 次のことに考慮しながら協議や調停、裁判で決定します。また、決定時に考慮したことが実行されていない場合は、協議での変更はできず家庭裁判所に調停を経て変更することになります。
・これまでの監護養育の実績
・子供を養育する環境、経済力
・子供の意志
 判断基準や考慮すべき事項として、次の7つがあります。
①母性優先の原則
 特段の事情がない限り子供の年齢が5才以下の場合、母親の細やか愛情が必要なので母性優先の原則となります。もちろん母親の監護の放棄等があれば父親の親権も認められます。
②現状維持の優先の原則(監護の継続性)
 幼い子供を取り巻く生活環境が大きく変化することへの配慮が必要な場合、現在の生活環境を継続させることを優先して監護の継続性を維持する判断基準です。
③子供の意思の尊重
 15才以上の子供には、裁判所が親権者を決定する際にその子供の意思を聴取することが法律上定められています。それ以下の年齢の子供でも10才以上を目安に意思を尊重しています。
④兄弟不分離の原則
基本的には、子供の幸せや生活の安定性を維持するために同居の兄弟姉妹は一方の単独親権とします。
⑤面会交流に対する考え方
フレンドリーペアレントルールという離婚後であっても子供の心情に育成に配慮し、他方の親との面会交流に協力的であり前向きな姿勢を持っているほうがよいとする考え方があります。
⑥子供を育てるための環境設定
 親権者になるものの、「経済力」「健康状態」「居宅の所持」が考慮されます。
⑦監護補助者がいるか
 親権者の近所や周辺に、急な仕事や病気のときに助力してくれる監護補助者(親や親戚、友人等)がいることが考慮されます。

養育費について

1.養育費とは

 養育費は、親の当然の責務として子供の生活を保障し、子供の心身の成長を支えるために、未成熟子(経済的・社会的)が自立するまでに必要な費用で、生活費・教育費・医療費などです。養育費の支払い義務(扶養義務)は、親の生活余力に関係なく子供の生活を保持する強い義務して、自己破産しても免除されません。

2.養育費の決定方法

①当事者の協議で決定する
 離婚するとき、両親の協議により定めることができます。後日の紛争になることを避けるためになるべく公正証書(強制執行について認諾している条項付きもの)で作成し、「支払時期」「支払期間」「支払方法」「養育費の金額」等細かく定めるようにします。

②調停・審判、裁判で決定する
 一般的に離婚調停・審判、裁判では、養育費の取り決めも同時に行います。調停で決定する場合、6か月くらいの期間がかかります。
③事情変更による養育費の金額変更
 養育費の負担者の生活状況の変化による減額や子供の生活態様の変化による増額など年月の経過による生活態様によって養育費の支払い額の変更をすることができます。

④養育費の算定
養育費の算定は、家庭裁判所の実務で使用されて定着している養育費算定表をもとに計算します。

3.養育費の支払いが滞った場合

養育費が滞ってしまった場合、催促するしかないのですが、調停・審判、判決・和解で養育費の支払いが決まっているときは家庭裁判所に対して、相手に「約束どおり支払うように」勧告するように申し出ができます。最終的には、裁判所に強制執行を申し立てて財産の差し押さえをしてもらいます。

年金分割

1.年金分割とは

 年金分割は、離婚時に二人の婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割して、それぞれ自分の年金とすることができる制度です。

2.年金分割の方法

①合意分割
 二人からの請求によって年金を分割方法で分割割合は合意、または裁判手続きによって決まった割合になります。
②3号分割
 サラリーマンの妻である専業主婦の方など、国民年金第3号被保険者であった方からの請求により、年金を分割する方法で分割割合は2分の1づつなります。

3.年金分割の手続き

 年金事務所または街角の年金相談センターに「標準報酬改定請求書(離婚時の年金分割の請求書)」を提出しないと年金は分割されません。

4.年金分割の期限

 年金分割手続きは、離婚後の翌日から2年を経過すると請求できなくなります。また、離婚成立後、相手方が死亡した場合、死亡日から1か月を経過すると請求できなくなります。

まとめ

 やらなくてはならない手続きについて主だったものを並べてみましたが、それまでの感情や離婚後の生活環境の変化を考えると前向きな内容に対しての手続きではないので、とても重苦しくて何かと手が止まってしまうことがあるかも知れません。しかし、再出発するための「再幸の手続き」として前進しないことには決意した自分を傷つけてしまわぬようにしっかりと相談できる窓口は必要です。士業グループの一員であるウィズグローバルではそんな方の入口での問題整理のお手伝いをします。お気軽にご相談ください。お待ちしております。